大工になります

九大建築学科から大工へ

九州大学に大学院を含め6年間在籍しました。
周りの多くが就活をして所謂大企業に就職する中、今春より工務店に就職して大工になります。

たぶん全国的に見てもそれほど多くない進路に進んでいると思うので、今からの成長過程をアウトプットしていこうと思います。

まず手始めに、なんで九大から大工への道を選んだのか、就職前の今の気持ちを綴っていきます。

九州大学への進学と建築学科での葛藤

なんとなく建築に興味があるような気がして、地元の下関市から近い旧帝大の建築学科 と適当に九州大学建築学科への進学を決めました。

学部時代は、授業や先輩方との交流の中でふれた設計が楽しくて、割と真摯に設計課題に取り組んでました。
それなりの評価はしてもらったけど、何か引っ掛かるところがずっとあってそれを言語化できずにいました。
今振り返ると、当時からアンビルドが嫌いで、拙い知識や技術でも”建つ”建築、それを使う人が楽しめる建築を提案したかったんだと思います。
ぶっちゃけ空間美や機能美なんてものはどうでもよかった。

メインパースを手書きでこういう画法で〜とか、oma風のダイアグラムが〜とか 諸々、くそしょうもないしどうでもいいと当時は本気で思ってた。(今はその限りではありません。)
これは今でも思うけど、模型至上主義みたいな考え方は特に嫌いでした。
もちろんこれらは表現手法として大事なことだと思うけど、高い学費払ってすることがこれかと。

当時はこれがうっすら頭にあったくらいで、自分もその潮流に乗っかろうとしたし、同時に実務経験のない学生のものとはいえ図面として正しいものを描かないとという変なプライドもあったり、中途半端なリアルとアンリアルの間で揺れてよくわかんないものを作ってたと思います。

転機になった卒業設計

卒業設計のときにこれがもろに出ちゃって、正直失敗した。
けど自分なりに他の人より秀でてると自信のある部分もあったからそこだけでも評価してもらえたらなくらいに思ってた。結果コメント1つもらえずに終わって、そこでなんか一生懸命張ってた糸がぷつんと切れた感覚があります。

自分は周りの人ほど建築が大好きでもなくて、空間やディテールに感動したこともなくて、けど自分もそういう人間だと言い聞かせてたんじゃかいかなと。
評価されなくて悔しくてっていうのももちろんあるけど、評価されてた人たちの評価されてたポイントだったり、他にも学生コンペや、いろんな人たちとの会話を通して、自分のやりたいことはこれじゃなかったんだなって初めて気づけました。

大学院での挑戦と経験

大学院に進学することはもう決まってたので、何か新しいことをやろうと思って、まずはそれを見つけることだーって意気込んでました。

それから、スタジオ課題で木の仮設架構作って、糸島空き家プロジェクトで1物件を設計から施工までやって、偶然いただいたお仕事でベンチを設計製作して、ここで改めてものづくりの楽しさに気づきました。

他にも、糸島空き家プロジェクトだったり被災地の仮設住宅研究だったりを通して、住宅、家 が好きなんだなーって気づけてきて、家をつくりたい!って思うようになってきました。

この「つくりたい」は最初は設計だけで、住宅中心にやってるアトリエ事務所にインターンに行ったりしました。
そこで代表の方とお話させてもらって、西田くんは自分で建てたいんじゃない?みたいに言ってもらえて、個人で仕事されてる方や会社を教えてもらって、そこで初めて大工の選択肢が自分の中に生まれました。

大工になる決意

大工が設計をすることは工務店だったりで間々あると思います。一方で所謂建築家が実際に現場で手を動かして建設するっていうのは聞いたことがありません。

自分はそれになりたい、自分ならそれになれるんじゃないかと思いました。
新規性があるのもそうだけど、それ以上に、設計して実際に作ることもできるって最高だよなって。

どっちも極めたいと思ったときに、改めて新卒での就職について考えると、自分が目指す “設計して実際に作る” ことができる職人への第一歩としては、今大工になることが最善手じゃないかと、ある種打算的に決意しました。

もちろんそこに辿り着く道は色々あって、別の道から自分が目指す”像”に近いところに行った人もいると思う。
けど今大学院生として建築を学んでる自分には、既にある程度の設計教育を受けているという利点と、一方で24歳での新卒入社という現場職としては欠点になりえる部分があって、これを考慮してまずは大工としてのプロフェッショナルを学んで、力をつけた後に設計に戻るという道を選びました。

総括

結構思いつくままに書いたんで、色々めちゃくちゃだけど、最終的には設計もものづくりもやっぱ好きだから、どっちも極めてどっちもできるスーパーマンになりたい!というのが夢です。笑

それにむけてまずは大工の弟子として研鑽を積ませてもらおうと思っています。

もしかしたら挫けるかもしれないし、なんだかんだずっと大工やってるかもしれないし、先のことはわからないけど、ここに今の気持ちを記すことで、これを忘れずに芯を強く持って、やりたいことひたすらにやりきる人生を歩みたいなと思っています。

とりとめのない内容ですが、以上で締めたいと思います。
ご清覧ありがとうございました